先日、公民館が主催する史跡探訪講座に参加してきました。
正直、私は子供の頃から公民館というものにお世話になった経験があまりなかったのですが、淡路島に移住後、状況が一変しました。偶然ある方から公民館が主催するカルチャー講座の話を聞き、去年、今年とお世話になっています。
いろんな講座がありますが、この史跡探訪は、バスで淡路島の史跡を周りながらその歴史を解説してもらうという講座です。
淡路島のまだ知らないスポットに足を運べるということに加え、もう1つ私には参加する大きなモチベーションがあります。
朝8時に公民館に集合し、既に顔見知りとなった公民館の方と朝の挨拶を交わします。そして、去年お会いしたご夫婦が今年も参加されており、早速声をかけて頂きました。とても仲の良いご夫婦で、お話していて気持ちが良く、この日も多くの時間を共有させて頂くことになります。
そう、この講座、移住者である私にとっては、地元の方と触れ合うとても良い機会になるのですよ。
では、今回訪問した場所をご紹介しましょう。
(1) 高田屋顕彰館・歴史文化資料館
いきなりですが、今回の講座で最も印象に残った場所です。
皆さんは高田屋嘉兵衛という名をご存知でしょうか?
私も初めて知ったのですが、江戸時代後期に淡路島に生まれ、船乗りとなって海運業に乗り出し、身分や国境を越えて北海道の開拓者として活躍した海の男です。当時まだ寂しい漁村でしかなかった函館の発展に貢献し、日本とロシアの間に立って両国間に起きた事件まで解決してしまいます。
近くには日露友好の像もありました。
司馬遼太郎さんが「江戸時代で最も偉かった人物、世界のどんな舞台でも通用する人物」とこよなく愛した人で、その物語は小説「菜の花の沖」にまとめられています。
展示を見れば見る程興味が湧いてきて、私は早速小説を買ってきて読んでいるところです。
余談ですが、高田屋顕彰館の周辺はウェルネスパーク五色として整備された公園になっており、宿泊施設や温泉もあります。
もう3年半も前のことになりますが、私が移住先として淡路島に興味をもち、初めてこの島を訪れた時、ここでキャンプしながら島を周りました。その時は高田屋顕彰館は目に入ってきませんでしたけどね(笑)。公民館に感謝であります。
(2) 河上神社
一気に時代を遡り、平安時代(西暦900年代)から崇拝されてきた神社にやってきました。
公民館の方々による事前調整のおかげで、宮司さんが我々のために神社の歴史を詳しく解説して下さいました。
この神社は淡路唯一の天満宮で、万物育成の神「河上大神」と学問の神「菅原大神(菅原道真)」が祀られています。
写真のやや左手に大きな木がありますが、こちらは天然記念物に指定されているイブキの巨木。江戸時代になって、このイブキの木が拝殿に倒れかかり、拝殿の修理のために切ろうとしたところ、翌日には短くなっていたという言い伝えがあるそうです。
他にも、淡路島は徳島と合わせて名東県と呼ばれていたことがある等、興味深い話をたくさん聞かせて頂きました。
(3) 大昭和精機
この史跡探訪講座の面白いところは、名所旧跡だけでなく、現在まさに活躍中の淡路島の地場産業も訪問する所です。
今回お世話になったのは大昭和精機株式会社。
金属加工する際にドリルなどの刃具を工作機械に固定するアダプタ("ツーリング"と呼ぶそうです)を開発、製造、販売している会社で、世界を舞台に事業展開しておられます。本社は大阪ですが、淡路島に工場があり、今回そちらを見学させて頂きました。
社員の方々がとても丁寧に説明してくださり、小学生の頃に行った社会科見学を思い出しました。と同時に、淡路島にこんな会社があったんだとビックリ。
品質への追求を付加価値として、世界と勝負する実に日本らしい会社で、益々の発展を期待したいところです。
(4) 寺町八ヶ寺
昼食後、寺町八ヶ寺へ。城下町の雰囲気が残る通りに、宗派の違いを超えて8つのお寺が集まっています。
時代は江戸時代へ戻ります。当時、淡路を統治していた蜂須賀氏によって洲本に城下町が建設されたのですが、その際、城下町防衛のために寺院を集め、出丸的な役割を持たせたのが寺町のおこりなのだそうです。
これまた公民館による事前調整のおかげで、遍照院というお寺の住職さんからお寺に関わる歴史上の人物などの話を伺うことができました。
そして、参加者全員で寺町めぐり。スタンプラリーですね。
無事8つのお寺を全て周り、参拝記念として数珠を頂きました。
(5) 淡路文化史料館
最後に訪れたのは淡路文化史料館。
淡路島の歴史と文化を集めた博物館です。
以前個人的に一度来たことがあるのですが、参加者の方々と一緒に、「この農具、私の家にあった!」「昔、淡路島に鉄道走ってたのよ!」といった話を伺いながら周ると、また新鮮な気持ちで見学できました。
時計を見ると、もう夕方の5時。
バスで公民館に戻り、解散となりました。
淡路島のまだ知らないスポットに足を運び、個人で訪れても聞けないような話を伺い、地元の方々と語らう、丸一日かけて淡路島の歴史と今を肌で感じ、充実した時間を過ごすことができました。
移住者が地域社会に溶け込む上で、公民館は貴重なインフラとなるのでは…、そんな気がしています。
もし将来皆さんがどこかに移住することがあったら、一度訪問してみるといいかもしれませんよ!
(T)