
今月から最終の秋シーズンがスタートしています。
ますます盛り上がる“瀬戸芸”の総合ディレクター、北川フラムさんのお話が聞けるということで、
第3回淡路島くにうみ講座@淡路夢舞台国際会議場に出かけてきました


タイトルは「アートが拓く地域の可能性」


「アート」と聞くとちょっと遠く感じてしまいがちですが、
お話を聞いているうちに“自分の側に引き寄せていいんだ”という気持ちになりました

前半は画像を交えながら瀬戸芸の歩みを紹介。
瀬戸芸の基本理念は「海の復権」


瀬戸内海は日本列島のコブクロ(お母さんのおなか)として
豊かな恵みと美しさを湛えてきましたが、効率第一主義の中で
「島の生活は不便」と人々が海を省みなくなった結果、島々は孤立し、元気を失い、
固有の魅力があるにもかかわらず自信を失っていきました

そこでアートのもつ力を活かそうと立ち上がられたそうです

瀬戸芸には国内外から多くの人が訪れますが、瀬戸芸が目指す観光は
「島の人たちが幸せを感じる観光」。
アーティストと島民が一緒になって作り上げ、それが見に来る人たちに感動を与え、
その感動が島民の誇りとなる。
ゲストだけでなく、ゲストを迎える側の幸せ、という視点が
新鮮かつ嬉しく感じました

また国際的に展開したことが功を奏したとも。
「島の固有性が世界の普遍性になる」。とても印象的な言葉です。
そして“サイト・スペシフィック”(場所に根差した)というキーワード

たとえば、草間彌生さんの『南瓜』。

何もなければただの海が、カボチャを置くことによって“あの瀬戸内の海”となり、
「あそこに行ってみよう!」となる。確かにそうですよね

続く後半は(財)企業メセナ協議会代表理事であり
洲本市のアドバイザーでもある加藤種男氏との対談。
そこで提案されたのは
・海からの視点をもっと取り入れては?たとえば岬めぐりなど

・海を舞台に活躍した淡路島の偉人「高田屋嘉兵衛」をもっと売り出せば?
・船便は直島だけでは不十分。色々な島の違いが分かってこそ面白い

・「国の発祥」と言える強みを活かす。
・島が一丸となって取り組む。3市が互いに「隣よりはよくなりたい」的な発想ではダメ

・大きな目標に向かって“ハッタリ”が言える人間が必要。外部人材の活用。
・旅行者に不便な思いをさせてOK。苦労が思い出になる

(瀬戸芸では3割が2泊以上している→交通の便が悪いことを覚悟して来ている)
・食を活用(瀬戸芸の弱点は“いい食”がなかったこと。アートに距離を感じる人たちも食だととっつきやすい。)
最後にこんな強烈なエールも

「立地条件、食の豊かさでは淡路島は絶対的に優位。淡路島が本気になれば他などすっ飛ぶだろう。」

一筋の航路が見えてきそうな、とても素敵な講演会でした

さて次回のくにうみ講座は、タイムリーにも高田屋嘉兵衛ですよ〜!
「ゴロヴニン事件と高田屋嘉兵衛の知恵」
11月9日(土)14:00〜五色文化ホールにて。
これは行かなくっちゃ!!