県道から山道へと進むと、そこに広がるのは田舎の風景。緑に囲まれた明るく広々とした場所に樂久登窯を見つけることが出来ました。
ここは2004年、洲本市と旧津名郡五色町が合併した年に淡路へ移住された西村昌晃さん(31歳)の工房です。


小学生の頃からもの作りが好きだったという西村さん。兵庫県丹波にある立杭焼きの窯元で6年間の修業を終え、独立。この淡路島にご自身の工房を持つ決心をしました。
五色町鳥飼は、西村さんのご先祖の家があった場所で、幼い時から何度もお母さんの実家へおばあちゃんを訪ねて来ていたそうです。そして2005年、おばあさんの家の向かいにある納屋を改造し、工房を構えました。幼い頃に自然の中で遊んだことや五色浜のきれいな海で泳いだ経験を持つ西村さんにとっては、この場所を選ぶのは当然のことだったのかも知れません。当時お元気だったおばあさんも孫息子の決断をさぞかし喜ばれたことでしょう。
淡路ののんびりした環境や、農業・漁業や瓦産業のある豊かな土地が好きだという西村さん。ご近所とのお付き合いについては、初めは戸惑いもあったといいますが、今では消防団活動や、祭礼団に入り地元のお祭りでも活躍している様子。なんとも頼もしいことです。

原料の土は8割が淡路の土だという西村さん。
また、淡路島在住の芸術家仲間とのネットワークについても、そのつながりを大切にしつつ、自分の世界も大切にしているように見受けられます。「自然に逆らわず心地よく活動したい。」という言葉が印象的です。これはきっと自分に自信があってこそ言えることですね。お若いながらも職人としての厳しい経験や持ち前の心の深さが言わせるセリフなのでしょう。
取材前に見るべきだったかな、と思いながら実際は取材後に見せていただいた西村さんの陶芸作品。工房の向かい、数年前に亡くなったおばあさんのお家を改造して先月オープンしたギャラリーに、ずらりとセンス良く並べられています。お母さんとお姉さんが切り盛りする併設のカフェからつながる屋根裏部屋にも展示スペースがあり、ちょっとした冒険気分も味わえます。


西村さんの作品はギャラリーの他、神戸大丸を初め関西一円で販売中。京阪神へのアクセスがよいのも淡路の魅力です。
素人が感想を書くのも失礼ですが、西村さんの陶器には、色目のせいか優しさを感じさせるものと厳しさを感じさせるものがあるように思えました。
お話を聞く前に見ていたらどんな感想になっていたか定かではありませんが、私が気に入ったのはカフェのランチでお茶をいただいた水色のカップ。優しさの色のカップです。

おばあさんや、退職後応援に来られたお母さん、お姉さんからの優しさは、西村さんの作品を通して多くの人につながるような気がします。「つなげよう!」なんて力まなくても自然とそうなって行きそうですよ。自然体で応援しています! by ぽんぽこ
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