こんにちは。Tです。
突然ですが、淡路島に伝わる「a平焼(みんぺいやき)」をご存知でしょうか?
もしご存知という方がおられたら、きっとその方は陶器がお好きな方かと想像します。
一時は海外にも輸出され、今でも骨董ファンから根強い人気がある陶器で、淡路焼と呼ばれることもあるそうです。
今回紹介させて頂く「あわびウェア」は、そんなa平焼からインスピレーションを受けた淡路島在住の陶芸家の作品です。
工房兼ショップがあるのは、淡路市の大町。
高速道路の津名一宮ICからのアクセスが便利なエリアです。
以前は村の診療所だった建物を工房として再利用されているそうですが、何だか古き良き学校のような空気を感じるのは私だけでしょうか?
内部に足を踏み入れると、何だか懐かしさを感じてしまいました。
初めて訪れた場所なのに…。
一室がギャラリー兼ショップとなっていて、ゆっくりと「あわびウェア」を見ることができます。
今回、特別に「a平焼」も並べて頂きました。
右手前にある大きなお皿と周辺の一品物が「a平焼」で、その周りを囲む形で「あわびウェア」が並んでいます。
海や山に囲まれた淡路島の自然美が影響しているのか、「a平焼」は何といっても、そのカラフルな外観が大きな特徴です。特に古い陶器に興味のある方にとっては、どれも素晴らしい一品なのだそうで、実際、a平焼の値段は最近どんどん上がっているとか。
一方の「あわびウェア」は、
- 「a平焼」の形やカラフルな雰囲気といったテイストを取り入れつつ、現代の食卓に合うものを…
- 古い陶器に興味がある人だけでなく、幅広い方々の日常生活に溶け込み、長く使い続けてもらえるものを…
淡路島在住の陶芸家がそんな思いを込めて作った陶器。いわば、世代を超えて使い続けていける"受け継ぐ器"がコンセプトです。
藍色やコバルトブルーの光沢のある「あわびウェア」は、「a平焼」のテイストがより色濃く残っていますが、マットな仕上がりの「あわびウェア」も、落ち着いた雰囲気で個人的には好みです(笑)。
確かにどちらも「a平焼」に比べて色合いが落ち着いたものになっていて、飽きがこず、日常の食卓で長く使えそうです。
ここで「あわびウェア」を作られている陶芸家の岡本さんご夫婦をご紹介しましょう。
ご主人は淡路島のご出身。
美術の世界でキャリアを積み重ねられ、東京の大学で美術の講師をされていましたが、当時は彫刻や現代美術がメインで、陶芸はあくまで趣味だったそうです。
しかし、骨董市に足を運んだ時に「a平焼」に出会い、同時にそれが出身地の淡路島ゆかりの陶器であることを知ります。この時はまだ淡路島への移住は頭にありませんでしたが、この「a平焼」との運命的な出会いが、淡路島へUターンした後の岡本さんに大きなインスピレーションを生み出すことになるのです。
一方の奥様は倉敷のご出身で、結婚後、初めて淡路島に足を運ばれたそうです。が、淡路島への移住を最初に考え始めたのは奥様の方でした。
大きな転機はお子様の誕生。
- 東京は大人にとっては刺激的ないい街だけど、子供にとっては淡路島の方がいいのではないか…
- 淡路島で自然に寄り添いながら、好きなことをナリワイにできたらどんなに素敵だろう…。
当時、まだ仕事面での確かな展望はなかったと仰ってましたが、それでもお2人は淡路島移住を実行に移されました。お話を伺っていて正直私も驚きましたが、迷いはなかったそうです。
しかし、こうも仰ってました。
- 人との縁があった
- タイミングにも恵まれた
当時、津名高校が校舎として利用していた建物が移転によって空家となり、教室6つを使って活動してみないか…、そんなお話があったんだそうです。移住後、「a平焼」からのインスピレーションを頼りに陶芸にチャレンジするかたわら、美術のキャリアを生かし、この教室を使って"淡路島美術大学"の名で展示会、工房、ワークショップ等、様々な催し事を企画されました。
通称、"淡美(あわび)"。ここに作品を意味する英語の"ウェア"が重なり、お2人の活動は「あわびウェア」として結晶していきました。
少しずつ活動範囲を広げながら、2015年9月に現在の場所に工房を移転。今回、その工房で「あわびウェア」の実際の制作過程も見学させて頂いたので、最後に紹介させて頂きます。
これは石膏型。
ここに、"たたら"と呼ばれる厚みの揃った粘土板をたたきつけ、土から「あわびウェア」の原型を切り出していきます。
ご存知、ろくろもありました。
あわびウェア工房さんでは、作品によって、石膏型とろくろの両方を使い分けておられます。
棚に所狭しと並んでいたのは、乾燥&素焼きした後の器たち。
この表面に釉薬を塗り付け、再度焼き上げたものが、数々の「あわびウェア」作品となって世の中へ出ていくという訳です。
きっとご苦労もあったに違いないと想像しますが、この「あわびウェア」、今や北海道から鹿児島まで約30店舗のセレクトショップやギャラリー、百貨店等でも扱われています。さらっと仰ってましたが、スゴイですよね。
お話を伺っている最中、岡本さんご夫婦が声を揃えて強調されていたのは「縁」と「タイミング」。
改めて考えてみれば、食卓に並ぶ「あわびウェア」は淡路島との縁そのものなのかもしれません。
移住先として興味を持たれている方はもちろんですが、観光で遊びに来られる方も、淡路島と何らかの縁でつながって頂けたら…、そんなことを考えながら帰路についたのでした。
※あわびウェア工房
連絡先や営業時間等、詳細はこちらでご確認ください。
連絡先や営業時間等、詳細はこちらでご確認ください。
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by T
東京から淡路島に移住してきました。
移住者の私の目から見た淡路島を紹介させて頂きます。
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